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アントニオ・ロペスの作品に再び会いたくなりました

 今年4月から開かれていた 『アントニオ・ロペス展』(渋谷、Bunkamuraザ・ミュージアム)が、今月16日に終わる前に、突然再会したくなりました。
 5月の初め、その素晴らしさに感動した友人の話に誘われて、その翌日に会場を訪ねました。リアリズムの巨匠と評されるスペインの作家は、わが国の新進作家たちに、今も多大な影響を与え続けています。室内の光景、家族の肖像、庭の果物や花々、俯瞰した街々など、画家にとってのモチーフは生活そのもの。その対象を長い時間をかけて描きながら、根源とか深層の真実へたどり着こうとする、静謐かつひたむきな作業を、覗き見しているような気分にさせられました。
 先日再び訪れて、今度は驚嘆というか、驚愕したように立ちすくんでしまった画面が、「グラン・ピア」。 マドリードの街を描いた一連の作品の中にある大作ですが、夏の早朝、ビル街に差す陽光と街路を通り抜ける風を画面に定着させようと、作家は地下鉄を乗り継ぎ現場に7年間も通いつめました。イーゼルを中央分離帯に立て、制作の時間はわずか20分。 単なる写実主義とは違った印象をもたらす彼の作品は、街の変化や時間の経過までも、一枚の画面に塗り重ねていく、執念と労苦の結果をさらして見せるからでしょうか。これまで感じたことのなかった、畏敬の気持ちが、この作品を前に湧いてきたのでした。

at 15:49, 大滝まさお, -

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