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二つのコレクション展を興味深く観ました

 開館60周年を記念して開いた神奈川県立近代美術館 鎌倉別館での 『日本画 ザ・ベスト・コレクション』 は、昨年11月から三期にわたって展覧され、現在は後期(3月25日まで)展示の作品が紹介されています。前期・中期は、片岡球子や荘司福といった日本美術院の女性画家が柱となり、明治以降の日本画の流れが概観できるようになっていました。
 後期展示でも二人の大作を観ることができます。 『面構 足利尊氏』 は、大胆で華美な独特の画風をうち立て、歴史上の人物にも独自の解釈をもって挑んだ、片岡球子の独壇場を確認できようというもの。同館 葉山館で開催された回顧展での感動を想い起こしました。 後期展においては鎌倉〜江戸期の古画もあり、俵屋宗達の『狗子図』は、あまりに可愛くて大好きになりました。 山口蓬春は葉山に住んだ画家。その素描の美しさにも感動しましたが、デッサンといえば、生涯画学生の如くひたすら素描一筋に精進した四方田草炎を思わずにおれません。草炎の大作である 『堰場』 を観れたことも幸せでした。鎌倉館には草炎の作品が多く収蔵されていると聞きます。いつの日か、それらの展示を観たいものだと思います。
 もう一つの展覧会は、 『横浜市民ギャラリーコレクション展 2012』 です。毎年一度、テーマを決め収蔵作品を公開していて、今年のテーマは『顔』。副題には 『THE フェイス―収蔵作品に見る「顔」の表現―』 と付いています。大きな転換期だった昭和の時代。目まぐるしく移り変わる世相と時々の横浜が、人々の「顔」や振る舞いを通して甦ったかのよう。絵画、写真、版画、彫刻など、表現の手段は異なっても、作品との対峙によって懐かしさや存在の大きさなど、様々な事柄が思い起こされてくる不思議な展覧会です。とくに興味が尽きなかったのは写真群でした。対象に迫る作者の姿勢や意図が直に感じられたからです。 接収された横浜の街を背景に、胸を張り笑顔も見える米兵と、肩を落とし無表情の帰還兵たち。横浜の女性写真家・常盤とよ子は、赤線で働く女性のまなざしを通じて時代の断面を切り取っています。浜口タカシが撮った、厳寒の浜辺でスケソウタラ漁にいそしむ漁師たちの顔は、東日本大震災のあと大雪でも苦闘する東北の漁師とも重なり、切ない気持ちにさせられました。
 ほとんどが横浜在住かゆかりのある作家の作品。市民ギャラリーは地震対策のため来年から取り壊されることが決まっています。同館でのコレクション展は最後となることから、この期会にぜひ足を運んでみてください。18日まで。

at 16:20, 大滝まさお, -

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